医師の転職理由(動機)として多いもの

投稿日:2017年11月25日 更新日:

転職はなかなかパワーのいることですから、踏み切るにはそれなりの理由やきっかけが存在するはずです。

医師もほかの多くの職業と同様、「勤務条件の改善」や「スキルアップ」などがおもな転職理由となっています。特に医師の労働環境は過酷な場合が多いため、勤務負荷を軽減する目的で転職を考える人が多いようです。

また、「大学の医局を離れて、異動のない市中病院で働きたい」「将来的な開業のための経営スキルを身につけたい」なども、医師ならではの転職理由といえるでしょう。

ここでは、実際に転職活動をした医師へのアンケート調査の結果をもとに、医師の転職理由(動機)として特に多いものをご紹介していきます。

アンケート調査の結果から見る、医師の転職理由

まずは、すでに転職をした、もしくは転職活動をしたことのある医師を対象に行なわれたアンケート調査の結果から見ていきましょう。

株式会社メディウェルのアンケート調査

「医師転職ドットコム」というサイトを運営する株式会社メディウェルが、転職支援サービスを申し込んだ医師を対象に行なったアンケートの結果は、以下の通りです。

医師の転職理由(有効回答数696件・複数回答)
1位 家庭・生活事情 121人
2位 大学病院・医局を離れる(辞める) 95人
3位 勤務負荷 75人
4位 職場環境・人間関係 71人
5位 給与・待遇 58人
6位 スキルアップ・専門性 56人
7位 勤務内容・やりがい 51人
8位 拘束時間・通勤時間 41人
9位 転居 30人
10位 転科 15人

医師転職ドットコム「【調査詳細】医師の転職理由」参照

11位以降も「定年」や「閉院」「帰国」などが続きますが、もっとも多いのは「家庭・生活事情」という理由です。

具体的には、「子育てに理解のある職場で働きたい」「今の職場では、家族と過ごす時間が短すぎる」などの回答が集まっています。

次いで100人近くが回答しているのが「大学病院・医局を離れる(辞める)」ですが、具体的には「異動や人間関係への不満」が大きいようです。医局に属していると、どうしても異動を免れないため、特定の市中病院に安定して勤めたいと思う医師が多いと考えられます。

3位は「勤務負荷」です。これも1位の「家庭・生活事情」と通じるところがありますが、「緊急手術やオンコールの連続で体力的に厳しい」「休みがほとんどとれない」など、やはり激務に追われる医師が多いことがうかがえます。

株式会社アンテリオのアンケート調査

マーケティングリサーチ会社の株式会社アンテリオが、約1,000人の医師から回答を募ったアンケート調査があります。こちらは、実際に転職をしたことのある医師が対象です。

直近の転職における転職理由(有効回答数1,081件・複数回答)
1位 施設・医局の方針と合わなかった 27.7%
2位 自身が考える理想的な医療を提供したかった 19.4%
3位 自身のスキルを活かせる診療を行いたかった 18.6%
4位 自身のスキルを高めたかった 17.5%
5位 より高収入を得たかった 17.0%
6位 勤務時間を減らしたかった 14.6%
7位 育児 6.8%

株式会社アンテリオ「『医師の転職意向に関する調査』結果について」参照

「施設・医局の方針と合わなかった」という回答が1位になっています。具体的な回答は紹介されていませんが、人事異動や勤務体制、運営理念などに対する不満があって転職を決めた医師が多いのかもしれません。

2位は「自身が考える理想的な医療を提供したかった」という回答で、これも前の職場ではそれが難しかったということですから、1位の理由と通じるものがあります。

ちなみに、このアンケートでは「転職によって満足度が上がった項目」についての調査も行なわれており、6割近くの医師が「就業環境」「給与」「業務内容」で満足度が上がったと回答しています。

医師の転職理由は「現在の職場への不満」が多い!?

上でご紹介したアンケート調査の結果を見ますと、医師の転職理由はスキルアップや給与のアップよりも、「職場と方針が合わない」「家族との時間が足りない」などのほうが多いことがわかります。

もちろん、専門的なスキルをより磨くために転職する医師も一定数いるのですが、全体的には「人事異動のない職場に行きたい」「家庭と仕事をもっと両立したい」など、より良い労働環境を求めて転職を考える医師が多い印象です。

やはりそれだけ医師という職業は激務であり、しかも労働環境の改善を職場に求めるのが難しいという現状が見えてきます。

特に医局には厳然とした上下関係があるせいか、なかなか自分の意思を伝えられないジレンマを抱える医師が多いようです。

さらに人事異動もある上、若いうちはそれほど昇給が見込めないため、「割に合わない」と感じて医局からの転職を考える医師が多いと推測されます。

医師の転職理由、「勤務負荷」はなぜ大きいのか?

ここまでみてきたように、医師は勤務負荷の軽減を求めて転職する人が多い、という現状があります。

医師の勤務負荷の大きさは以前から問題視されており、現在も改善のためのさまざまな取り組みがされていますが、現実にはまだまだ道のりは遠いといえそうです。

医師の勤務負荷が大きい原因としては、何といっても人手不足があります。とくに地方ほど医師数が不足しているため、給与は高い代わりに「勤務時間が長い」「専門外の診療も任される」などの状況にある医師が少なくありません。

また、上でも触れましたが、大学医局に属している場合は「異動」もあります。数年ごとに違う病院を転々とすることは、地方の病院の医師不足対策にはなるのですが、とくに家庭のある医師にとっては安定した生活を送れない要因となります。

当直も、最近は専門のアルバイトを雇う病院が増えてはいますが、地方ではまだまだ当直明けにそのまま日勤、というケースも多いです。

その他の医師の転職理由(動機)

勤務負荷の軽減や、今の職場への不満のほかにも、医師の転職理由は人によってさまざまです。

年収アップ

ほかの職種と同様、医師も年収アップを求めて転職するケースもあります。

とくに医局に属している場合、アルバイトをしないとかなり低賃金であることも少なくないため、より正当な評価を求めて転職する医師は多いようです。

スキルアップ・キャリアアップ

スキルアップを目指して転職するケースでは、「専門医の資格を取得できる病院に移りたい」「専門医の資格をより活かせる職場で働きたい」などの理由が挙げられます。

転科

「より需要の高い診療科に転科したい」「新たなジャンルに挑戦したい」などの理由から、転科を目指した転職をする医師も一部います。

臨床以外の分野への挑戦

「メディカルドクターや産業医など、病院以外の職場で活躍したい」などの希望をもって転職する医師もいます。

最近は医師の活躍の場が広がっているため、転職先もかならずしも医療機関ではなくなっています。

開業を目指して

「将来的に開業(または承継)の予定があるため、その前に経営スキルを身につけたい」という医師もいます。

診療以外のマネジメントスキルをみがくためには、雇われ院長や次期院長を募集している病院への転職が近道です。

妊娠・出産・子育て

勤務負荷の軽減にもつながる理由ですが、やはり女性医師は妊娠出産をきっかけに、最初の転職を経験するケースが多くみられます。

また、子供の教育環境を整えるために、都市部に転居・転職する医師夫婦もいます。

その他

ほかにも「地元にもどって就職したい」「定年後ももうひと頑張りするため」など、医師によってさまざまな転職理由があります。

とくに最近はUターン転職が増えており、地元の医療に貢献しようとする若手医師も多いようです。

医師の転職理由(動機)として多いものまとめ

アンケート調査の結果をもとに、医師の転職理由として特に多いものをご紹介しました。

医師の場合、収入面よりも「勤務負荷の軽減」や「職場との方針の不一致」などの転職理由のほうが多いのは興味深いところです。

つまり、働きやすさ・QOLの向上・やりがいなどを求めて転職する医師が多いことがうかがえます。

もちろん転職理由は人それぞれで、良い悪いはありません。大切なのは自分が転職したい理由をまず明らかにした上で転職活動を始めることです。

今の職場への不満を洗い出せば、次の職場に求める条件もおのずと見えてきます。

転職を成功させるためにも、自分の転職理由をはっきりさせることは必要不可欠な作業といえるでしょう。

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