現在、インターネット上には多くの医師転職サイトがあり、どこに登録するかで悩むドクターの方も多いと思われます。
サイトの規模にかかわらず、良いサイトは良いのですが、初めて利用する方にはやはりある程度名の知られた大手のほうがおすすめです。
求人掲載数も一般的に多めですし、コンサルタントの質も一定して高い場合が多いと思います。
その中でも、自分にもっとも合った転職サイトを選ぶためには、各サイトが特にどんなサービスに力を入れているのか、一番の「売りポイント」がどこにあるのかを知ることが大切です。
ここでは、大手6社の医師転職サイトを、「求人掲載数の多さ」や「紹介実績」などのさまざまな項目から徹底比較していきます。
(比較転職会社)
- エムスリーキャリア
- 医師転職ドットコム
- リクルートドクターズキャリア
- マイナビDOCTOR
- 民間医局
- e-doctor
医師会員登録数
エムスリーキャリア | 25万人以上※ |
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民間医局 | 約100,000人 |
医師転職ドットコム | 30,000人以上 |
e-doctor | 約21,000人 |
リクルートドクターズキャリア | 非公開 |
マイナビDOCTOR | 非公開 |
※「m3.com」の会員数
サイトに登録している医師の数で比較してみますと、他を圧倒してもっとも人数が多いのは「エムスリーキャリア」です。
その数25万人以上ですから、全国の医師(約30万人)のおよそ8割が登録していることになります。
ただし、実はこの数字はエムスリーキャリア単体ではなく、その親サイトである「m3.com」の会員登録数である点に注意が必要です。
m3.comは医療従事者向けのポータルサイトで、最新の医療情報の提供や、医師同士の交流などのサービスを行なっているため、多くの医師が会員になっています。
つまり、25万人の登録者が全員エムスリーキャリアで転職活動をしているわけではありません。
とはいえ、大多数の医師が親サイトに登録している以上、エムスリーキャリアの医師からの知名度は間違いなく高いと思われます。
次に多いのは、株式会社メディカル・プリンシプルが運営する「民間医局」というサイトで、10万人もの医師が登録しています。
民間医局も、転職支援のほかに医師向けの賠償責任保険や福利厚生などのサービスを行なっているため、登録者数が多いものと思われます。その他のサイトは、20,000~30,000人程度の登録者数です。
ただし「e-doctor」は、運営会社の株式会社リンクスタッフがほかにも複数の転職サイトを運営しているため(「e-hijokin」や「Women’s Doctor」など)、それらもすべて合わせての登録者数と思われます。
「リクルートドクターズキャリア」と「マイナビDOCTOR」は非公開となっていますが、どちらも国内では大手の人材紹介会社であることから、まずまずの利用者数がいるのではないかと推測されます。
医師求人掲載数
医師転職ドットコム | 約40,000件(非公開求人含む) |
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エムスリーキャリア | 約30,000件以上(非公開求人含む) |
民間医局 | 約20,000件 |
リクルートドクターズキャリア | 約18,000件 |
マイナビDOCTOR | 約13,000件 |
e-doctor | 約13,000件 |
サイトに掲載されている求人数での比較ですが、こちらも実は数字のトリックが隠されている場合があります。
一つは、「非公開求人が含まれているところとそうでないところがある」ということです。
上記の中では、もっとも求人掲載数が多い「医師転職ドットコム」と、2番目に多い「エムスリーキャリア」が、どちらも非公開求人の数を含めています。
ユーザーが知りたいのは、公開・非公開を問わずそのサイトが保有している案件の数だと思いますので、その点では非公開求人も含めて公表するサイトのほうがわかりやすいです。
一方、たとえば「リクルートドクターズキャリア」では約18,000件となっていますが、非公開求人が常時10,000件あるとのことですので、合計すると30,000件近い案件を保有していることになります。
また、中には非公開求人の数を公表していないサイトもあるため(民間医局など)、どのサイトがもっとも多くの案件を保有しているかを単純に把握するのは難しいのが実情です。
ほかにも、「求人掲載数をどのようにカウントするか」という問題もあります。
たとえば同じ医療機関の内科の場合、「A病院・内科」としてカウントするのか、それとも「呼吸器内科」「消化器内科」などのように細分化してカウントするのかによっても数が違ってきます。
さらに、求人全体の数だけでは「常勤・非常勤・スポット」などの内訳がわからないため、自分が希望する案件の求人掲載数がどれぐらいあるのかもチェックしたいところです。
非公開求人数
マイナビDOCTOR | 約13,000件 |
---|---|
エムスリーキャリア | 10,000件以上 |
医師転職ドットコム | 10,000件以上 |
リクルートドクターズキャリア | 常時10,000件以上 |
民間医局 | 非公開 |
e-doctor | 求人の7割が非公開 |
次に、非公開求人数による比較です。
多くの転職サイトでは、Web上に掲載されていない非公開の求人を扱っています。
「急募のため掲載している暇がないから」「掲載すると応募が殺到する人気案件のため」「非公開にしたほうがコンサルタントによるフィルタがかかり、優秀な人材を紹介してもらえるから」など、企業にとってのメリットが多いのがおもな理由です。
また、ユーザーにとっても非公開求人が多いほうが、自分で転職活動をするよりも条件のいい職場に出会える可能性が高くなります。
今回取り上げた6サイトでは、多くが「10,000件以上」と公表しており、特に大きな差はみられません。
中でも「マイナビDOCTOR」は、およそ13,000件の非公開求人を扱っています。
また「医師転職ドットコム」では、単に非公開というだけではなく「他のサイトには掲載されていないプレミアム(独占)求人」が10,000件以上と公表されているため、登録しておいて損はないでしょう。
「民間医局」の非公開求人数は公表されていませんが、「成約件数全体の約80%が非公開求人によるもの」と発表されています。
民間医局の年間成約件数は約40,000件ですので、年間30,000人以上の医師が、非公開求人で転職していることになります。ただし年間の数字のため、常にこれだけの非公開求人があるとは限りません。
また、「e-doctor」では求人の7割が非公開となっています。求人掲載数(約13,000件)の7割と考えれば、9,000件近くが非公開ということになります。
このように、大手の医師転職サイトでは非公開求人の数に大差がみられないため、なるべく複数のサイトに登録して広く網を張っておくのがおすすめです。
紹介実績(年間)
民間医局 | 約40,000件 |
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e-doctor | 33,106件(2015年度) |
医師転職ドットコム | 10,000名以上 |
エムスリーキャリア | 数千件以上 |
リクルートドクターズキャリア | 非公開 |
マイナビDOCTOR | 非公開(関東圏での実績が多い) |
最後に、紹介実績で各サイトを比較してみましょう。
公開されている中でもっとも紹介実績が多いのは、「民間医局」です。
約10万人の登録者数に対し、年間の成約件数が約40,000件ですので、40%近くの会員が転職に成功していることになります。
次に多いのは「e-doctor」で、2015年度の成約件数が33,106件と発表されていますが、これは株式会社リンクスタッフが運営するほかの転職サイトと合わせての数だと思われるため、「e-doctor」単体での成約件数は不明です。
また、「マイナビDOCTOR」では首都圏での成約件数が多い点が特徴となっています。そもそも、求人の7割近くが関東エリアに集中しているため、ほかの地域での転職を考えている方は、ほかのサイトにも登録したほうがいいでしょう。
まとめ
6つの大手医師転職サイトを、複数の項目で比較検討してみました。
多くのユーザーがもっとも重視するのは、求人掲載数だと思いますが、上でご説明したように「非公開求人を含めているのか」「診療科別に細分化してカウントしているのか」などによって数字が変わってきます。
特に、多くの医師転職サイトでは非公開求人による転職成立がかなり多くを占めているため、単純に掲載数で判断するのではなく、非公開求人の数や、実際の成約率などにも注目してみてください。
また、転職サイトでの転職が成功するかどうかは、担当コンサルタントの腕によるところが大きいのも事実です。
サイトのスペックや数値はあくまで参考程度にした上で、まずは2~3のサイトに登録し、自分が本当に信頼できるコンサルタントを探すことをおすすめします。